シチリア（Sicily）　　　　　歴史用語解説の一覧　　　　　　ホームへ戻る
【参照】 歴史の整理（第１部８ 中世ヨーロッパ＞ノルマン人の侵入）

＜＜シチリア島の歴史＞＞
前８世紀　フェニキア人の植民、ギリシャ人の植民
前５世紀　ギリシャ人支配の繁栄
前３世紀　ローマの属州←第１次ポエニ戦争
５世紀末　東ゴート王国の支配
６世紀前　ビザンツ帝国の支配
９世紀　　アラブ人の支配→イスラーム文化、農業技術が伝わる
11世紀　 ノルマン人の支配→シチリア王国成立、初代国王ルッジェーロ２世（位1095-1154）
13世紀　 ナポリのアンジュー家とシチリアのアラゴン家に分離
19世紀　 正式に統一して両シチリア王国となる
19世紀後　イタリア王国に併合される←ガリバルディのシチリア上陸

＜＜シチリア島の諸都市＞＞
○パレルモ：ノルマン人のシチリア王国の首都
【ノルマン宮殿】
・ルッジェーロ２世が建造
・パラティーナ礼拝堂は、天井はアラブ様式、壁面はビザンツ様式のモザイク画。ノルマン建築にアラブとビザンツの２様式が融合された。

○タオルミーナ：現在では、観光・リゾート都市
【古代ギリシャ劇場】
・前３世紀に建てられた野外劇場。後ろには火山のエトナ山が聳える。

○シラクーサ：ギリシャ支配時代に最も繁栄した都市、コリントの植民都市
【アルキメデスの生まれ故郷】
・アルキメデスの原理、テコの原理、円周率の近似値計算で知られる天才数理学者アルキメデスは、シラクーサに生まれ、第２次ポエニ戦争中にローマ兵によって殺される。

＜以上、次の書物を参照＞
・坂本鉄男『イタリア　歴史の旅』朝日選書
・ブルーガイド・ワールド『イタリア』実業之日本社
・ＪＴＢのフリーダム『イタリア』

＜＜ノルマン人のシチリア王国＞＞
＜高山博『中世シチリア王国』講談社現代新書より＞
中世のシチリア王国は、ヨーロッパに対して次の２つの役割を果たしていた。

【１】東方文化のヨーロッパへの輸出基地
「ここでは、ギリシャ語、アラビア語の著作の多くがラテン語に翻訳され、ヨーロッパに紹介された。首都パレルモにある王宮は、『12世紀ルネサンス』と呼ばれる中世ヨーロッパの大文化活動の中心のひとつだったとみなされている」（同書p21）

【２】近代行政制度への影響
「王国の行政制度は、高度に官僚化し、当時のヨーロッパで最も先進的だったと言われている。その効率的で厳格な行政は、イギリス、フランス、ドイツの行政制度に影響を与え、世俗的近代行政の先駆けとなったと考えられている」
（同書p21-22）

＜＜ガリバルディと映画「山猫」＞＞
「ガリバルディ上陸のニュースは貴族たちを震撼させる。シチリア西岸のマルサーラに着いたガリバルディ義勇軍がめざすはパレルモ。近辺の貴族のなかには一家で避難するものも現れた。しかし、名門サリーナ公爵････は少しも動ぜず、家のものたちの動揺を鎮めると、自分は夜の楽しみのために馬車でパレルモへ向かう」（田中千世子『イタリア・都市の歩き方』講談社現代新書p166）

　ヴィスコンティ監督の名画「山猫」は、リソルジメント（イタリア統一運動）の波がガリバルディとともにシチリア島に押し寄せたところから始まります。

〔英文問題〕
Ｑ　次の文章によりその歴史が説明されている島はどこか。また、【　】に当てはまる語句は何か。次の文章で説明されている王朝は何か？

In the 8th century BC Phoenicians founded trading posts in the west of the island, while Greeks colonized the eastern and southern coasts. From the 5th to the 3rd centuries BC conflict between Carthage and the Greeks was a feature of the island’s history. In 264 BC the first of the Punic Wars between Carthage and Rome began, and by 210 BC the island was totally under Roman control, remaining so until it was occupied by the Vandals and then the Ostrogoths. The Byzantine empire took possession of the island in 535 AD, a rule that lasted until the 9th century when the Arabs won control. Two centuries of Arab rule were ended by 【　　】colonization.

（英文は”Oxford Encyclopedia of World History”より）

☆★　解答　☆★
○島の名前：シチリア島（Sicily）
○【ノルマン人（Norman）】

☆★　語句　☆★
・trading post　交易所
・colonize　植民地を建設する、入植する
・feature　特質、特徴
・take possession of を占有する、手に入れる

☆★　大意　☆★
前８世紀、フェニキア人がこの島の西側に交易所を建設した。一方、ギリシャ人は東部・南部海岸に入植した。前５世紀から前３世紀にかけては、カルタゴとギリシャとの争いがこの島の歴史を特徴づけた。前264年、カルタゴとローマとの間で第１次ポエニ戦争が起こり、前210年までには、島は完全にローマの支配下に入った。そして、その支配は、ヴァンダル族、続いて東ゴート族に占拠されるまで続いた。ビザンツ帝国が後535年にこの島を占領し、その支配は９世紀にアラブ人が支配権を獲得するまで続いた。２世紀にわたるアラブ支配は、ノルマン人の植民によって終わりを告げた。

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