第１次世界大戦とロシア革命（第３部 ３．） ホームへ戻る
＜１＞大戦前の国際関係
（１）ヴィルヘルム２世と露仏同盟
（２）三国同盟と三国協商
（３）バルカン問題
＜２＞大戦の経過
（１）勃発
（２）戦局の推移
（３）戦局の転換
＜３＞ロシア革命とソヴィエト政権の成立
（１）十一月革命
（２）ソヴィエト連邦の成立
◎前へ（第２部 ８．１９世紀後半の欧米）
◎後ろへ（第３部 ４．ヴェルサイユ体制）
※問題と解答
＜１＞大戦前の国際関係
（１）ヴィルヘルム２世と露仏同盟 トップ
＊ヴィルヘルム２世（位1888-1918）の政策
・ヴィルヘルム１世の孫、1890年ビスマルク辞職
・新航路政策：海外発展を志向
1890 独露再保障条約を独が更新せず
1891-94 露仏の継続的交渉、露仏同盟成立（1894）
・財政難に苦しむ露への仏資本の援助、露公債を仏金融資本が買い受け、露が仏に武器発注
（２）三国同盟と三国協商 トップ
＊英の態度
1902 日英同盟：露の極東進出阻止のため、「栄光ある孤立」を放棄、独との対立
＊独の政策
1898 艦隊法：海軍拡張計画、英との建艦競争を引き起こす
・バグダード鉄道の敷設権、３Ｂ政策（ベルリン、ビザンティウム、バグダード）、英露との対立
＊英仏の接近
1904 英仏協商：協力して独に対抗
＊英露の接近
・日露戦争後、露の極東進出阻止により英露の対立緩和
1907 英露協商：中央アジア、ペルシャでの利害調整（イラン北部は露、南部は英、中部は緩衝地帯、アフガニスタンは英の勢力範囲、チベットには両国とも干渉せず）
・三国協商成立
＊伊の態度
1902 仏伊協商：独が仏を攻撃しても伊は独には協力しないという密約
・事実上、伊は三国同盟から離脱
・伊は「未回収のイタリア」、オーストリアのアドリア海進出に反発
（３）バルカン問題 トップ
＊「パン・ゲルマン主義」と「パン・スラブ主義」の衝突、「死の十字」、「ヨーロッパの火薬庫」
＊バルカンの民族・宗教
・カトリック、ギリシャ正教、イスラーム
・スラブ（セルビア、クロアチア、スロヴェニア、ブルガリア、モンテネグロ、アルバニア）、ラテン（ルーマニア）、その他（ギリシャ、ドイツ、トルコ、イタリア、ユダヤ）
＊各国情勢 【参照】ボスニア・ヘルツェゴヴィナ（歴史用語解説・英文付き）
・セルビア：ベルリン会議(1878)で独立、大セルビア主義
・ボスニア・ヘルツェゴヴィナ：ベルリン会議(1878)でオーストリアが行政権を持つ、ムスリム地主に対するキリスト教徒農民の対立、反オーストリア感情、セルビアとの合併気運
・ブルガリア：ベルリン会議(1878)で自治権承認、公国に、親露派と親トルコ派の対立、農民蜂起、農民同盟や社会民主党の勢力大、独立し王国となる(1908)
・マケドニア：独立せず、各国が干渉
1908 「青年トルコ」の革命、オーストリアがボスニア・ヘルツェゴヴィナを完全に併合、セルビアとの対立激化
1911 イタリア・トルコ戦争：伊がトリポリ・キレナイカを獲得（英仏はこれを黙認、伊と連合国との接近）
1912 バルカン同盟：露支援、セルビア、モンテネグロ、ブルガリア、ギリシャの間に個別に締結された軍事同盟、トルコへの共同防衛
1912 第１次バルカン戦争：トルコ対セルビア、モンテネグロ、ブルガリア、ギリシャ、トルコは敗北
1913 ロンドン休戦協定：トルコはイスタンブル周辺以外のバルカン領土喪失
・ブルガリアのマケドニア領有を巡る対立生ずる
1913 第２次バルカン戦争：ブルガリア対セルビア、ギリシャ、ルーマニア、トルコ、ブルガリア敗北
1913 ブカレスト条約：ブルガリア領土縮小（マケドニア・トラキアの大半をギリシャ・セルビアに、南ドブルジアをルーマニアに）
・アルバニア独立、ブルガリアはバルカン同盟を脱退し独・オーストリアに接近
・トルコの衰退決定的に
・パン・スラブ主義の勢力拡大
・トルコ、ブルガリアが独・オーストリアに接近
＜２＞大戦の経過
（１）勃発 トップ
＊サライェヴォ事件 【参照】ボスニア・ヘルツェゴヴィナ（歴史用語解説・英文付き）
・セルビアでは大セルビア主義に基づくナロードナ・オドブラナ（民族防衛団）や黒手組（”結合か死か”）などが結成される
1914･6･28 オーストリア帝位継承者フランツ・フェルディナンド夫妻がボスニア州サライェヴォで暗殺される、（黒手組の青年によって）、オーストリアがセルビア政府に最後通牒
7･23 オーストリアがセルビアに反オーストリア運動取り締まりを要求する最後通告
7･25 セルビア政府がこれを拒否、露がセルビア支援の総動員令
7･28 オーストリアがセルビアに宣戦布告
独が露に宣戦布告、ベルギーから北フランスへと進軍
8･4 英が独に宣戦布告
露が独領に進撃
8･24 日が独に宣戦布告、膠州湾・青島を攻略
トルコ、ブルガリアは独・オーストリア側
ルーマニアは露側
1915 ロンドン密約：英仏が伊にアドリア海沿岸の割譲を約束、伊の参戦を促す
1915･5 伊はオーストリアに宣戦布告
＊独のシュリーフェン計画
・参謀総長シュリーフェン、６週間で勝利する短期決戦、西部戦線先行
（２）戦局の推移 トップ
1914･8･29 タンネンベルクの戦い：独が露軍を破る、独ヒンデンブルク、東部戦線での独優位
1914･9初旬 マルヌの戦い：仏領内、独敗北、西部戦線の長期化、二正面戦争へ
1914･10 トルコが参戦、バルカンに戦局拡大
1914･10 日、独領南洋諸島占領
1914･11 日、青島占領
1915･1 日、二十一ヶ条要求：山東半島の独権益、東北地方、内モンゴル、華北支配を要求
1915･5 ルシタニア号事件：独が英客船ルシタニア号を攻撃、爆沈、米人遭難、米世論が参戦へ傾く
1916･2-12 ヴェルダンの戦い：仏領内、独敗北、仏将軍ペタン、西部戦線膠着
1916･6-11 ソンムの戦い
＊塹壕戦による戦線膠着
＊英が制海権を握る、独は海上封鎖を受ける
＊総力戦
＊新兵器（飛行機、飛行船、戦車、毒ガス、潜水艦）、空襲による非戦闘員の犠牲
（３）戦局の転換 トップ
1917･1 米大統領ウィルソン再選、「勝利なき平和」を呼びかけ休戦を提案
1917･2 独の無制限潜水艦作戦はじまる（敵国・中立国の区別無くいっさいの船舶を攻撃）
1917･4･6 米、独に宣戦布告、「民主主義の擁護」、連合国の優勢決定
＜３＞ロシア革命とソヴィエト政権の成立 トップ
1905 国会（ドゥーマ）開設：地主貴族の支配、皇帝支配不変
・皇帝ニコライ２世の皇后と結ぶラスプーチンらによる乱脈な政治
1912 レナ金鉱事件：シベリアのレナ金鉱でスト中の労働者が殺された事件、これをきっかけに労働運動、革命運動が高揚
1916夏 中央アジア諸民族の徴兵反対の蜂起
（１）十一月革命 トップ
＊３月革命
1917･3･8 三月革命（露暦2･23）
3.8（国際婦人デー） 女性労働者が「パンをよこせ」のデモ、工場労働者のスト
3.10 ペトログラード全市の労働者の「平和」を求める政治ゼネスト
3.12 鎮圧に向かった兵士もストに参加
・首都ペトログラード（大戦中に改名）での大規模スト、労兵ストが全国に広がる、ペトログラードとモスクワにソヴィエトが成立
・ソヴィエト（労兵協議会、1905年の第１次ロシア革命のときに成立）が各地に成立
・ロマノフ王朝倒れる（ニコライ２世退位 3･15）
＊二重権力 【参照】レーニン「４月テーゼ」（歴史用語解説・英文付き）
・臨時政府成立：リヴォフ公（立憲民主党）首班、自由主義的立憲ブルジョワジー、立憲民主党（カデット）、社会革命党（エスエル）右派、メンシェヴィキ、戦争継続
・ソヴィエト：社会革命党左派、メンシェヴィキ、ボリシェヴィキ中心、戦争継続に同調（ボリシェヴィキは即時講和を主張）
・農民革命や非ロシア人による民族革命が都市労働者に合流
1917･4 レーニン帰国（スイスより）、４月テーゼ発表（4･17 戦争の即時停止、全ての権力をソヴィエトへ）
･7 ロシア軍の夏季攻勢：失敗
･7 ボリシェヴィキの武装蜂起（７月蜂起）：失敗、臨時政府によるボリシェヴィキ弾圧、レーニンはフィンランドに亡命
・社会革命党右派ケレンスキー首班内閣、最高司令官コルニーロフ
･9 将軍コルニーロフの反乱：コルニロフが軍事独裁体制の樹立を図って首都に進撃し臨時政府を威嚇、臨時政府はコルニーロフ打倒のためソヴィエトとの提携、ソヴィエトの武装化を認める、ソヴィエトの武装勢力（中心はボリシェヴィキ）がコルニーロフの進撃を阻止
・ボリシェヴィキが各地のソヴィエトで指導権を握る
＊１１月革命
1917･11･6-7 １１月革命：レーニン、トロツキーの指導のもとでボリシェヴィキと社会革命党左派の武装蜂起、冬宮を攻撃し臨時政府打倒
1917･11･8 全ロシア・ソヴィエト大会開催
・「土地に関する布告」（地主の所有地の無償没収、土地の私有制の廃止）
・「平和に関する布告」（全交戦国に無併合・無賠償の平和を提案）
・国内の少数民族にも民族自決権を認める
1917･11･10 人民委員会議成立（人民委員会議議長レーニン、外務人民委員トロツキー、民族人民委員スターリン）
・重要産業（銀行、鉄道）の国有化、地主の土地の没収と農民への分配、民族自決宣言、外債の破棄
（２）ソヴィエト連邦の成立 トップ
＊一党独裁
1918･1 憲法制定議会の普通選挙（２０歳以上男女）：社会革命党が第１党に（得票率４０・４％）、ボリシェヴィキ第２党（得票率２４％）、立憲革命党（得票率４．７％）、メンシェヴィキ（得票率２．６％）
1918･1･18 憲法制定議会の開催
・ボリシェヴィキは議会を武力で閉鎖、他の政党禁止、一党独裁（ボリシェヴィキ独裁）の成立、社会主義ソヴィエト共和国を宣言
・社会主義共和国であることを宣言
1918･3 ボリシェヴィキはロシア共産党と改称
・首都をモスクワへ移転、クレムリンを権力の中枢に
1918.7 ロシア連邦共和国憲法の採択：全国にソヴィエトを設置、１８歳以上の男女の労働者・農民・兵士のみにソヴィエトの選挙権を付与、共産党以外の政党禁止
＊単独講和
1918･3 ブレスト・リトフスク講和条約：独ソの単独講和
・ブレスト・リトフスクは現在のベラ・ルーシ
・ソはフィンランド、ポーランド、バルトを喪失、ポーランド・エストニアは独、ウクライナ・フィンランドは独立（領土は約１／４，人口は１／３を失い、多額の補償金の支払い）
・条約に反対した社会革命党（エス・エル）左派は政権から離脱
・トロツキーは無併合無賠償を主張、レーニンの説得で条約調印
・ウクライナではラーダ（民族主義的なソヴィエト）が結成され、ラーダは反ロシア、反ボリシェヴィキ的であった。ボリシェヴィキはラーダを破り、ウクライナでもソヴィエト政権が成立する。
＊コミンテルン成立
1919･3 コミンテルン（共産主義インターナショナル、第３インターナショナル）結成
・共産党主導の革命拡大を目指す、各国共産党の代表者からなる、本部モスクワ
・ドイツ革命、ハンガリー革命（1919年、ベラ・クンがソヴィエト政権を樹立したが、５ヶ月で失敗、ベラ・クンは国外亡命）、中国の革命運動などを援助
＊ソヴィエト社会主義共和国連邦（ＵＳＳＲ）成立
・白ロシア（ベラルーシ）、ウクライナ、アルメニア、アゼルバイジャンなどが独立宣言ソヴィエト政権と反ソヴィエト政権の内戦
・白ロシア（ベラルーシ）、ウクライナ、カフカスなどでもソヴィエト共和国成立
1922･12 ソヴィエト社会主義共和国連邦（ＵＳＳＲ）成立、首都モスクワ
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